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安心して晩年を過ごせる環境整備。医療と介護で新潟県を支えたい。

メッツ太陽ホールディングス株式会社
代表取締役社長 上村 宏

更新日:2023年10月18日

1969年 新潟県生まれ。新潟薬科大学大学院修了。
1995年 千葉県のドラッグストアへ入社。店長や大型店の新規立ち上げ、ブロック長を歴任。
2000年 メッツ太陽ホールディングス株式会社入社。
2008年 代表取締役社長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「家業を助けてほしい」父の言葉がきっかけで薬剤師を志す。

当グループは1978年に私の父が創業しました。父はもともと卸問屋で働いていて、その後に先輩社員とともに独立し、今でいうジェネリック医薬品を売る会社を経営していました。そんなときに取引先の医院の先生から「医薬分業をするために調剤薬局を作ってくれないか」と声がかかったのです。当時は医薬分業がまだ始まったばかりの時代でした。

そこで父は経営していた会社を離れ、自分で新たに調剤薬局を始めました。父は薬剤師の免許を持っていなかったため人の採用からスタートしましたが、薬剤師が足りない、見つからない状態に悩んでいました。当時小学生だった私に、父はよく「将来は薬剤師になってお父さんの仕事を助けてほしい」と言っていたものです。その言葉がきっかけで、私は「家業のために薬剤師の免許を取らなければいけないんだ」と考えていました。

ドラッグストアで働いた経験が事業責任者としての基礎になった。

地元の新潟薬科大学へ進学し大学院を出たあと、すぐに家業には入らず外で修業したいと考え、千葉県のドラッグストアへ入社しました。私は薬剤師になることだけは決めていましたが、進路を考えたとき「薬局や病院で働くより、人と会って物を売る方が面白い」と感じたからです。

ドラッグストアでは入社2年目で店長、3年目で大型店の新規立ち上げ、その後は15店舗ほどをまとめるブロック長を務めました。また、薬剤師の採用活動にも携わり、そこで得た経験と学びは、今の仕事にも大いに生きていると感じます。

私が家業に入ったのは2000年、事業を継承したのは2008年です。その頃は調剤報酬の単価がまだまだ上がっている時代でしたが、私はその状態に違和感がありました。

ドラッグストアで働き、調剤薬局以外の世界も見てきたからこそ、これからの時代はもっと幅広く事業を展開する必要があると思ったのです。この考え方は、介護やクリニック開業支援など、グループ内にさまざまな事業を生み出すベースとなりました。

介護分野への挑戦を通して地域の高齢者の健康を総合的にサポート。

私が代表取締役に着任した2008年は、ちょうど民間企業の有料老人ホームなどが増え始めていた頃です。そういった事業に興味がないかとお誘いを受けて、一度施設の見学に行きました。そのとき「これこそが自分の実現したいことだ!」と感じました。

調剤薬局で現場に出ていた頃は、「お薬が足りない」「飲み方がよくわからない」と困っている高齢者をたくさん見てきました。そんな方々のサポートに加え、患者さんが普段飲む薬を把握したうえで気軽に健康相談をしやすいのが調剤薬局のメリットです。

介護施設に住んでいる方はもちろん、近隣の高齢者の皆さんに対して、訪問介護や訪問診療を提供しながら薬の相談にも乗ることができれば、当社の強みを生かせます。

当社はもともと父の代に調剤薬局からスタートしましたが、私も薬剤師や経営者としてやっていくうちに、「自社の強みで、いかにして地域のお困りごとを解決できるかが重要だ」という考えに行き着きました。

一人暮らしが困難な方、薬局に来られない方を助けられる可能性を秘めた事業だと感じ、これからは医療・介護分野を充実させていこうと心を決めた瞬間でした。

従来対応できなかった方も入所できる施設を開設。

現在の要介護認定では、「要支援1・2」と「要介護1から5」の計7段階あるうち、「要介護3」以上で特別養護老人ホームに入れる決まりがあります。

しかし、それ以外の方は受け皿が少ないが現状です。そこで当社では、4棟運営する介護施設で、支援の割合が軽度の方と重度の方を分けて対応することにしました。

施設に入りたいけれどこれまで入れなかった方を対象に、2023年の春に開設したのが「介護付きホームメッツ長岡」です。支援の必要が比較的少ない軽度の方向けですので、費用も少し安く設定しています。

反対にこれまであった3棟の施設は、医療支援のニーズが高い方を受け入れられる体制があり、人員も手厚く配置します。そうやって徐々に幅広い高齢者の方をサポートできる形を整えてきました。

近年は晩年を県外で過ごす新潟県の高齢者が増えているという話もあり、人口減少がより一層加速するのではないかと思います。そこに当社が介護福祉施設を建てることで、高齢になっても安心して地元で暮らせることにつながります。

加えて就労場所も増えますから、当社が少しでも地元の雇用を生み出す助けになれば嬉しいですね。

地方こそ医療・介護の最先端!人材確保が経営発展のカギ。

介護の現場には深刻な人材不足の問題があり、それをどう解消していくかが今後の課題です。社員の働きやすさを追求するのはもちろん、若手人材の確保や外国人人材の雇用も視野に入れる必要があります。

地元には大学が4校と高専が1校ありますが、これらの学校にはベトナム人の学生も200人以上通っています。「日本人学生も含め、若い労働力を地元に留めるにはどうすればいいだろう」と試行錯誤の毎日です。

昔は首都圏が医療の先端だと言われていましたが、今はインターネットが普及して、全国どこにいても最新情報を得られるようになりました。医療や介護の世界はむしろ不便が多い地方にニーズがあり、最先端の医療が生まれやすいと思います。

人口密度が高く過当競争の首都圏で過ごすよりも、地元に帰って活躍した方が若者にとって成長のチャンスになります。当社が魅力的な事業を展開し、元気な企業になることが地域の発展に役立ちますし、若者のU・Iターンにもつながるのではないかと考えています。

専門性と人間力で地域のお困りごとを解決する存在に。

当社が一緒に働きたいと思うのは、専門性と人間力をバランスよく兼ね備えた人です。いくらスキルが高くても、それを活かすには人間性が欠かせません。

特に医療や介護の分野では、頭の中にインプットした情報を患者さんにあわせて柔軟に使い分けたり、伝え方を工夫したりする必要がありますから、人間力も同じくらい重要です。

それらが大事だと理解したうえで、常に両方を磨き続けられる意欲を持った人に来ていただければ嬉しいです。

中途採用の方は色々な経験をお持ちだと思いますが、そんなに構えずにフラットな気持ちで入っていただくのがいいかもしれませんね。

異業種から転職する方が初心者なのは当たり前ですから、わからないと思ったことは何でも素直に聞く人の方が職場になじんでいる印象です。勤勉にやっていればスキルや知識は必ず成長します。前向きな気持ちと意欲さえあれば、あとは何とでもなると思います。

当社の経営理念は「明朗・愛和・喜働」で、いつでもお客さまに寄り添う姿勢、社会的役割を果たすこと、そして社員の幸せの実現を目指しています。

大きく急成長するというよりは、社員が定年まで安心して暮らせる職場にするため、少しずつコツコツと事業規模を拡大することを大事にしてきました。

今後も、当社の強みである医療・介護を軸にしながら新しいことにチャレンジし続け、地域に密着して皆さんのお困りごとを解決できる会社でありたいと思います。

編集後記

コンサルタント
榊原 壮太

今回のインタビューを通して、上村社長のドラッグストアでの就業経験があったからこそ、既存の調剤薬局に疑問を持ち、薬局事業を軸にしながらも介護やクリニック開業支援などグループ内にさまざまな事業を生み出せたのだと理解できました。

また、事業の発展を経て、会社の売上だけでなく、地域貢献にも重きを置いている点も地域住民に愛される理由だと感じました。

毎年増収し、経営基盤も安定していく中で地域の行政・企業・住民と協業しながら医療・介護分野で地域に向き合っている同社。地域密着型で課題を解決していきたい方にお勧めしたい企業です。

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