株式会社スノーピーク
池山健太郎さん(仮名・営業本部長) 36歳
夢を叶えたいなら、自分から動け。募集のない志望企業へアタック!
池山さんは、日本を代表するIT企業を立ち上げ期から支えてきたキャリアの持ち主。その転職活動も、バイタリティあふれるものだった。家族とともに地方で暮らすことが、長年の夢。だが実際に転職活動を始めるにあたっては、どうしても譲れないことがあったという。「給料が下がるのは仕方ない。でも、"仕事の面白さ"だけは諦めたくない」。
自らリサーチして、出身地の新潟に「ここしかない」と思える理想の企業を発見。しかし、当時その企業に採用枠はなく、また東京と新潟では物理的な距離があり、思うように動けない。そこで、リージョナルキャリア新潟のコンサルタントを説得して先方へアプローチ。半年かけて内定を勝ち取り、今や営業本部長として活躍している。
「扉は叩いてみるもんだと実感した」という池山さんにお話をうかがった。
※本記事の内容は、2014年6月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで150日間
転職前
- 業種
- インターネット
- 職種
- マーケティング
- 業務内容
- マーケティング、広報、営業
転職後
- 業種
- アウトドア
- 職種
- 営業
- 業務内容
- 営業本部長
給料は譲れても、仕事の面白さだけは譲れない。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
アウトドア用品の製造販売を手がけているスノーピークで、営業本部長を任されています。スポーツ量販店などにアプローチする営業チームや、全国に展開する直営店の小売スタッフ、アフターサービス、カスタマーサービスなどの部隊を統括しています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学を卒業後、インターネット総合サービス企業に入社しました。私が入社した頃はまだ小さな会社でしたが、今は大企業となっています。
さまざまな部署を経験しましたが、最も長く関わったのは宣伝業務でした。部署の立ち上げから参加して、最終的にはグループマネージャーを任されていました。
転職のきっかけは?
私は新潟出身、妻も北海道出身なので、もともと「いつか地方で暮らしたいね」と話していました。しかし実際は、地方への転職で収入が下がることへの不安から、なかなか決心がつきませんでした。
しかし、東日本大震災をきっかけに「人間、いつどうなるかわからないな」「やりたいことがあるんだったら、元気なうちにやったほうがいい」と思うようになり、地方暮らしを真剣に考え始めました。
ただ、地方といっても、地縁血縁がない土地はイメージが湧きにくく、近くに親戚がいるところがいいということで、新潟に帰ることに決めました。
転職活動はどのように進めましたか?
私には絶対に譲れないものがありました。それは「仕事の面白さ」です。給与が下がるのは仕方ないとしても、そこだけは諦めたくありませんでした。そして見つけたのが、スノーピークでした。昔からキャンプが趣味だったので、ここで働いたら面白いだろうなと思いました。
そこで、リージョナルキャリア新潟のコンサルタントに「スノーピークに行きたいのだけど、なんとかしてくれないか」と、こちらからリクエストしました。取引がないとのことでしたが、コンサルタントにアプローチしてもらい、なんとか面談の機会を得ることができました。
先方と会ってみていかがでしたか?
最初は「採用枠がない」と言われました。それでも、諦めるわけにはいかない。今までのキャリアと、いかに私が入社したいかということを訴えました。そんななか、しばらくすると会社の方向性が変わり、「eコマースを強化していきたいと考えている」という話になりました。
それから5回新潟に通って面接を重ね、半年後、ついに内定をもらいました。扉は叩いてみるもんだと思いましたね。
休日は庭でバーベキュー。家族の心も体も健康に。
転職していかがですか?
最初は、eコマースのマネージャーとして入社しました。ネット通販の改善をひたすら行い、翌年、営業本部長に昇格しました。仕事は思っていた以上に忙しいですね。人数が少ないので、1人当たりの責任範囲が広いです。システム化も、まだまだ改善しなければならないことが山積みです。「田舎でのんびり」というイメージはもろくも崩れました(笑)。
ただ、満足感は高いですね。以前はインターネットを介してしかユーザーとの接点がありませんでしたが、今は交流イベントや実店舗があるので、ユーザーの生の声が聞けます。「こんなに多くの方に喜んでもらえているんだ!」という実感があり、とても充実しています。これからさらに会社を成長させ、地域の活性化にも貢献したいと思っています。
生活面での変化はありましたか?
通勤時間が短くなり、渋滞にもあわなくなったので、ストレスは格段に減りました。自分だけでなく、妻と子どもたちにも精神的な余裕を感じます。子どもの喘息も、新潟に来てからほぼ心配しなくてよくなりました。
また、食生活がとても豊かになりました。新潟はおいしいものが揃っていますからね。朝市で買える野菜は採れたてなので、凄く新鮮で美味しいです。決して豪華な食材ではないですが、豊かさを感じます。
そして、キャンプ道具の収納部屋がある家も建てました。休日は庭でバーベキューをして楽しんでいます。もちろん、スノーピークの商品を使いながら。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
地方に転職するときは、何かしら妥協が必要になることもあると思いますが、何を妥協するか、どこまで妥協できるのかを決めておくと、結論が早く出ると思います。私の場合は、仕事の中身が最も重要でした。自分が誇りを持てるモノやサービスを提供できる会社で働く、ということです。
もちろん不安もありました。家族を養うことを考えると、収入が下がることも気になりました。しかし、妻が「でも、やりたいんでしょ?」と背中を押してくれたことで、決心できました。最終的に、自分は何のために転職しようとしているのか、それをはっきりさせることが大事だと感じました。