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感動の空間創りは社員の幸せから。新潟から広がる内装革命の軌跡。

株式会社CSコーポレイション
代表取締役 古川 憲

更新日:2025年5月07日

新潟県生まれ。拓殖大学卒業。
2000年 建設会社入社。
2004年 株式会社CSコーポレイション入社。
2011年 代表取締役 就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

東京で磨いた視点と志を抱いて地元新潟へ帰郷し、事業を継承。

私は生まれてから高校までを新潟で過ごし、大学進学を機に上京しました。子どもの頃は父が経営者であることは知っていたものの、何をしている会社なのかはよく理解しておらず、漠然と「お店を作る会社」というイメージだけを持っていました。

CSコーポレイションは商業施設・店舗などの内装工事の設計・施工を手がける企業ですが、子ども時代に父からは「会社は継がない方がいいぞ、この業種は大変だから」とずっと言われてきました。それでも高校から大学にかけて、「父が築き上げたこの会社はいずれどうなるのだろう」という想いが芽生えてきたのです。

就職活動は就職氷河期と重なり、業界自体も不況だったため、父の伝手で東京の建設企業に就職することになりました。その会社で約4年間、施工管理の現場で経験を積む中で、ようやく父の言葉の意味が分かってきました。この業界は請負業なので常に案件を積み上げていく必要があり、年が明けるとリセットされる厳しさがあります。

建設企業で毎年ゼロから積み上げていくプロセスの大変さを悟りましたが、同時に首都圏での仕事や全国展開する店舗内装の仕事を通じて業界の実情や仕事の流れを学べたのは貴重な経験でした。また、雪国の新潟出身という理由から青森でのプロジェクトに配属され、そこで妻と出会って結婚しました。

その後は東京に戻り、キャリアアップのため営業に挑戦したいと手を挙げたものの、残念ながら異動は叶いませんでした。このままではキャリアの幅が広がらないと思い、また子どもが幼稚園に入る時期も迫っていたので家族の将来も考え、新潟に戻って家業を継ごうと決意しました。

帰郷から始まった挑戦—客観的視点で読み解く組織の未来図。

そして28歳で新潟に戻り、CSコーポレイションに入社します。当時の会社は初代社長である父がカリスマ経営者として強いリーダーシップを発揮し、高い実力を持った社員たちが集まっていて、まさに「戦闘力の高い社員の集団」 という印象を受けました。

一方で、当時の会社には「稼ぐことが最優先」という空気があり、個人主義で仕事を完結する風土がありました。そこでは社員一人ひとりが独立した事業主のように営業から施工まで全てを担当し、成果を上げていたのです。その結果、当時は30人ほどの規模でしたが、各物件の進捗状況を把握しにくい状況でした。

私が当時のこうした状況を客観的に見られたのは、東京での経験があったからこそです。東京という「外」から来たことで、社内の課題や可能性を新たな視点から見ることができたのです。私は最初、現場の施工管理を担当していましたが、数年後に専務になった頃から会社の将来をより真剣に考えるようになりました。

社内には年齢層の高いベテラン社員が多く、彼らがいずれ退職する未来を見据えたとき、「この人たちがいなくなったら誰が活躍していくのだろう」という危機感を覚えたのです。特に当時の社員一人ひとりの能力値が非常に高かったことから、「もしも誰か1人でも抜けたら、代わりに2~3人は採用しなければダメだ」という思いが日々強まっていったのです。

この危機感が採用に力を入れるきっかけとなりました。一人の優秀な社員がいなくなると、採用後の育成も含めその穴を埋めるには何人もの若手が必要になります。地方で優秀な人材を確保して育成することは、会社の未来を左右する重要な課題だと認識しました。

また、自分が事業を継ぐ立場になった時、強いリーダーシップを持った経営者が一人で牽引していくのではなくチームで仕事に取り組みたいと思ったことも、採用に力を入れた理由の一つです。

数字を追う経営から感動を創る経営へ—心の豊かさを求めた転機。

2011年に二代目として代表に就任しましたが、最初の3年間は「とにかく売上を落とすな」という意識でがむしゃらに走り続けました。創業者の次に就任したプレッシャーもあり、「二代目になって売上が落ちた」とだけは言われたくないという意地もあったのです。しかし、40歳を前にして徐々にこの方針に違和感を覚えるようになりました。

さらに自分自身にも子どもがいたことで、「そういえば、みんな休んでいないな」「本当は子どもの参観日や家族旅行にも行きたいだろうな」と気がつき、大切な社員の生活や家族との時間を大切にしたいという想いが強くなりました。そして、「とにかくハードワークで稼ぐ」という考え方では、社員の幸せやワークライフバランスが犠牲になってしまうと気づいたのです。

「社員が幸せでなければお客さまに良いものは提供できない」。この気づきが会社の方向性を変えるきっかけとなりました。私たちの仕事は、空間づくりを通して「誰かが喜ぶ場所を作る」ことです。つまり、「価値づくり」や「感情づくり」を追求し、幸せや感動を作る役割を担っているのです。

だからこそ、私は日々の業務において、「感謝の気持ち」を何よりも大切にするようになりました。会社の理念にも「ありがとう」という言葉を取り入れ、常に感謝の気持ちを忘れないように心がけています。また、仕事とプライベートの両面で人との出会いや接点を増やし、多くの人から知恵を学び、それを人に伝えることを重視したのです。

これらの理念を実現すべく、私は創業期のワントップ型の受け身な組織から「考え、行動する会社」への転換を図ってきました。社員に求めているのは「価値や感動を感じるか」「楽しんでいるか」を自分で考えて行動すること。手法が多少違っても、お客さまからの「ありがとう」を求めて考えた結果であれば大きな成長に繋がると考えています。

この新潟の地に根差し、ワークライフバランスを大切にしながら、質の高い仕事を実現する環境づくりに取り組んでいます。

他所で培った経験は宝物—異なる風を呼び込み組織に新鮮な風を吹き込む。

採用において、私は「人柄」を最も重視しています。これは試行錯誤の結果たどり着いた考えで、以前は必要なスキルや資格、経験などを先に見てしまい、人柄が後回しになっていました。その結果、スキルはあっても組織に馴染めなかった人もいたのです。

これらの苦い経験を踏まえて、今ではその人が何に価値を感じ、どんな考え方をしているのか、仕事をどう捉えているのか、将来どうなりたいのか、家族についてどう考えているのかなど、人柄をじっくり見るようにしています。

スキルは後からでも身につけられますが、素直さや成長する姿勢は簡単に変えられません。特に「成長することに対して貪欲か」という点は重要視しています。私たちの会社では常に成長することを共通言語として大切にしています。みんなで成長して、達成していく。それが私たちの目指す姿です。

最近では、設計部門では外部からのキャリア採用も増え、新しい視点や考え方が入ってきました。以前は完全にプロパー社員だけでしたが、現在は設計部門の半分以上がキャリア採用者です。東京などでキャリアを積んだ方が新潟に帰ってきたケースも多く、「外からの風」が固定概念を変え、新しい仕事のやり方を自発的に進めてくれています。

社内では年齢やキャリアを問わず、思ったことを率直に言い合える雰囲気作りを心がけており、Uターン・Iターン組の新鮮な視点を積極的に取り入れています。

かつての自分がそうであったように、外から来た人だからこそ見える課題や改善点があるため、「変だと感じることがあったら何でも教えてほしい」と常に声をかけています。会社として成長していくためにも、こうした新しい視点は不可欠だと考えています。

スーパーマンより“チーム”の力を信じて—支え合い、個の輝きを最大化する。

私は「会社は誰のものでもない」と考えています。会社とは、皆の生活の糧を作るための場であり、お互いの価値を提供し合う場です。そこで私がたまたま代表という役割を任されているだけで、個人の集合体が会社を形づくっているのです。

だからこそ、社員の皆には「会社のために頑張るのではなく、自分と大切な誰かのために頑張ろう」という想いで働いてほしいと願っています。結果として、その成果が会社に還元されれば良いのです。

そして会社が自分の目標を達成するために誰かに負担をかけるのではなく、お互いに応援し合う組織となる。「自分も頑張るから応援してほしい、次は自分が応援する」そんな人たちの集まりとなれば、組織はおのずと強くなるでしょう。

また私は、「この会社にスーパーマンはいらない」とも思っています。設計の専門家には設計のプロであってほしいし、数字が分からなければ営業がサポートすればよい。みんなが全部できる必要はなく、誰かが欠けても誰かがフォローする。そんなチームを作りたいのです。

私の仕事は会社の目指すべき姿を示し、社員一人ひとりの価値観と重なり合う組織を築き上げることだと考えています。誰かが抜けても致命的にならない組織を作ることが、次の世代にバトンを渡すために必要なことです。

私自身、父親というカリスマ経営者の下にいた経験から、自分はそれとは別のものを目指したいという想いがあります。また、この新潟という地域に根差した会社だからこそ、長く続く持続可能な組織づくりが実現できると信じています。

新潟から描く未来と可能性—あなたの経験が花開く新天地へ。

「常に変化と成長を続けていく」というのが私の経営スタイルです。新潟を「守り」の拠点としながら、東京を「攻め」の拠点として成長させる。さらに関連事業の拡大やM&Aを通じて、2035年までにグループ売上高100億円を目指します。

そのためにも、社員には今以上に物心両面共に豊かになってほしいと考え、私自身を含め一人ひとりの成長と付加価値向上に取り組んでいます。単なる店舗づくりだけでなく、事業計画や立地選定などの上流工程からのサポートを目指し、地方と都市の橋渡し役も担っていきます。

私たちCSコーポレイションでは、「自立と自律」を大切にし、スキルよりも人柄を重視した仲間づくりを進めています。私自身の経験からも、都会で培った知識やスキル、視点は地方で大きな強みとなります。

新潟に根差しながらも全国を舞台に活躍できる環境と、地方ならではのワークライフバランスを両立させながら、新たなキャリアと豊かな生活を共に築いていきませんか。

編集後記

コンサルタント
永田 祐介

町を歩けば、いたる所で同社が手がけた店舗や物件を目にします。県内で圧倒的なシェアを誇り、成長と発展を遂げている要因について、古川代表は「人が全て」と断言されていました。事業承継から今日までの数々の苦労や試行錯誤の末にたどり着いた本質的な言葉に感銘を受けました。

喜んでもらえる空間づくりを通じて価値と感動を提供することが同社の仕事であり、そのためには関わる人々を磨くことが不可欠だと古川代表はおっしゃいます。かつて同社に入社された方からも、自由闊達な雰囲気の中でそれぞれの役割に責任を持ち、プロフェッショナリティを求められる環境だとお話を伺ったことを思い出しました。

自由と責任を両立させながら仕事に向き合う姿勢を育む「人を磨く文化」が根付いているからこそ、現在の発展があるのだと改めて納得しました。

さらに、東京を拠点とした既存事業の拡大に加えて、新規事業にも果敢に挑戦している同社。その姿勢から、これからも成長を続けていく確かな未来を感じさせるインタビューとなりました。

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