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水道事業から一歩先へ。「世界一の水企業」への挑戦。

明和工業株式会社
代表取締役 関根 聡史

更新日:2024年8月07日

新潟県生まれ。
2001年 学習院大学卒業。
2009年 サフォーク大学 経営学修士課程修了。
2001年 東京の外資系企業に入社し、営業職に従事。
2009年 明和工業株式会社入社。
2020年 代表取締役就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

営業経験と留学を通して学びを蓄えた20代。

1969年、明和工業は住宅設備工事を手がける会社として歴史をスタートし、2024年に創業55年を迎えました。最初は私の父が社員数名とともに始めた会社ですが、今では6つの幅広い事業へとフィールドを広げ、全国14箇所のオフィス・工場で400名以上が働いています。

私自身は新潟市南区(旧白根市)で高校時代まで過ごし、大学入学と同時に上京。大学卒業後はそのまま東京の外資系企業に就職して、3年ほど営業職として働きました。自社製品を買ってもらうためにマーケティング分野の知識も問われる仕事で、大変なことも多かったですが充実した毎日だったと思います。

26歳になった頃、ふとアメリカに留学したいと思い立ちました。特に大きなきっかけがあったわけではなく、思いつきに近い願望でしたが、しばらく海外生活を満喫。子どもの頃から「いつかは会社を手伝う」という意識が常にあったため、31歳で帰国して明和工業へ入社しました。

被災地の農業支援をきっかけに新しい事業部を設立。

当社の主な柱は、建設業、金属製品製造業、レンタル業、水道事業、太陽光発電事業、エンジニアリング事業の6つです。水道やガスの供給に関連するあらゆる課題の解決に向けて、地域特性・現場の状況に合った設計とプランニング、そして施工から保守点検まで幅広く対応できるという強みがあります。

私が入社した2009年ごろは、水道管の入れ替え工事などに使用する仮設配管のレンタル業と、公共の水道工事を担う水道事業がメインでした。しかし、それだけでは事業が先細りする可能性が高く、社員の生活を支え続けることは難しい。取締役社長室長としてどうにかしなければと思っていた2011年、東日本大震災で被害を受けた農業施設の支援をしたいと考え、被災地の農家を回る活動を始めました。それが今のエンジニアリング事業部につながっています。

それまで当社は農業分野にほとんど携わったことがなく、完全に手探りの状態からのスタートでした。しかし、使っている資材は水道工事のものとほぼ同じですし、今後の会社の発展を考えれば事業を一つでも多く増やしておいた方が良いと考え、自ら県内の農業施設に営業活動へ出かけました。

3年で7千万円規模まで拡大!エンジニアリング事業の成長秘話。

農家への営業活動を始めたとき、社内では反対意見も一部ありました。それでも一人でコツコツと営業を続け、初年度の売上は29万8千円、2年目は300万円ほどになりました。

3年目に入った頃、近隣で同じような事業をしていた会社の廃業が決まり、社員の行く先がないと聞いて「それなら当社で引き取ります」と話して事業を承継しました。

それで一気に仕事が増えて、売上は7千万円以上に急増。当時社長だった父はそれまで私の行動を静観していましたが、ここまでの結果を出せたことで認めてくれて、エンジニアリング事業部という一つの大きな柱ができました。今では10億円を超えるまでに成長しましたが、まだまだ伸びる余地のある事業だと考えています。

私は代表取締役になる直前までエンジニアリング事業部長と役員を兼任していましたが、一番大切にしていたのは「現地に行って困っていることがないか聞く」ということです。

仕事をもらいたいという考えではなく、とにかく困っている人がいれば訪ねてみる。それが結果として新しい事業につながっていったのではないかと思っています。

水の可能性は無限大。明和工業の今後のビジョンとは。

当社のビジョンは「世界一の水企業になる」ことです。水は気体・液体・固体の3つの状態で存在していて、それぞれの分野で活用方法があります。当社が長年携わってきた水道事業は液体分野のごく一部のマーケットでしかなく、水を活用することについてはまだまだ未着手な部分が多いです。そのため、当社は水に由来するものを全力かつ全方位で取り組み続ける企業でありたいと思っています。

例えば水道の災害対応では、災害で水が止まってしまった場合、復旧までには通常1週間から10日ほどのタイムラグがあります。当社の場合はタンクやパイプなどの資材を出すことはできても、水を「ろ過」する技術がないため、現時点では被災地の人へすぐに安全な水を届けられません。世界一の水企業になるにはその状態では足りないため、今後は災害などの緊急事態にも備えられる状態を整えたいと考えています。

また気体の分野では、水は酸素と水素に分けられます。中でも水素はさまざまな分野で活用が広がる可能性があります。ガソリンや電気に代わる「自動車のエネルギー」としての利用法は広く知られていますが、水素を活用できる場面はまだまだたくさんあるため、世の中の技術の進歩に遅れないように当社もしっかりと歩みを進めたいです。

時代の変化をチャンスに!総合エンジニアリング企業を目指して。

当社が一緒に働きたいと思うのは、変化にあわせて常に自分自身をアップデートできる人です。指示を待つのではなく、自ら課題を見つけたうえで解消に向かって進める人。もちろん、意見やアイデアを発信する人も大歓迎です。

明和工業も世の中の変化に応じて進化し続ける組織でありたいと考えていますので、それに対して魅力を感じる人となら、お互いに成長し合える関係性が作れるのではと思います。

中途採用の皆さんはそれぞれが持つバックグラウンドやスキルがあり、別の会社の文化も知っている人たちですから、ぜひ良いものを持ち込んで社内に新しい風を吹かせてほしいですね。入社して慣れてきた頃に辺りを見渡してみて、自分にできるところから徐々に意見をあげていくと、日々の仕事がきっと楽しくなるはずです。

当社は、製品やサービスを通してお客さまと世の中に喜び・満足を提供し続ける「総合エンジニアリング企業」を目指しています。水にまつわるニーズは時代とともに変化しており、過去に上手くいった方法を繰り返すだけでは、企業としての成長は望めません。

優れた製品・技術・サービスを生み出し続けるために、今後も社員一人ひとりが最大限に力を発揮できる組織づくりを行い、私自身も一緒に挑戦と成長を続けていきたいと思います。

編集後記

コンサルタント
皆川 暁洋

関根社長の語り口は非常に穏やかですが、その内にある強い情熱を感じられるインタビューでした。

安定した水道関連事業を維持するだけに留まらず、新しいことを仕掛けてきた経験を伺え、大変ワクワクする時間でした。

今後も、時代の流れに応じて会社を変化させていくであろう同社の発展に大きな期待を寄せたいです。

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