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創造と提案のチーム力で、 選ばれる存在であり続ける。

株式会社ソーゴ
代表取締役社長 佐藤 重雄

更新日:2022年11月16日

1973年生まれ。新潟県新潟市出身。
1995年 大学卒業後、東京の鉄鋼商社に入社。
1998年 株式会社ソーゴ入社。
2015年 代表取締役に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

先代の事業に対する強い思いを聞いて育った子ども時代。

株式会社ソーゴは冷凍冷蔵関連の設備機器と断熱パネルのメーカーとして、商店や工場までさまざまな場所に合わせた冷凍冷蔵庫、クリーンルーム、間仕切りパネルなどを、お客さまのニーズに応えてオーダーメイドで設計・製造・施工までを手掛けている会社です。6ヵ所の製造工場、19ヵ所の営業拠点があり、全国のお客さまに向けて広く事業を展開しています。

創業者は私の父で、1968年に30歳で銀行を辞めて起業しました。銀行員の型にはまらない個性的な人物で、取引先だった商社の方などの話から、今後はコールドチェーン(生産地から小売まで、所定の温度に保ったまま流通させる手法)が伸びるだろうということで、冷凍冷蔵設備に使われる部品の商社としてスタートしました。ただ、最初からメーカーへの憧れがあったようで、「最終的にはものを作っている会社の発言権が強くなるから、作る側になってイニシアチブを取りたい」と、創業から3カ月後には簡単な加工を始めていました。

私が生まれたのは先代が起業した後で、物心ついたときから仕事に関する話を聞かされていました。ドライブに連れて行かれた車の中で、仕事とはこういうものだとか、会社でこういうことが起きていて大変なんだとか、いろいろなことがあっても最後はトップが判断しなければいけないなど、子どもなので理解できないのですが、分からないながらも話を聞いていました。休みの日には「ちょっと付き合え」と言われて、工場に連れて来られることもありました。

父は、事業欲はものすごく高かったのですが、所有欲や贅沢をしようという感覚は持っていなかったので、事務所や家での暮らしも華美なことはしませんでした。家族が贅沢を求めることも好ましく思わない人だったので、当時の自分は友達と比較して「うちは裕福ではないな」と感じていました。そうした感覚も含め、私自身の人格形成において、ものの考え方や価値観は父の影響を受けていると思います。

周囲が調和できるように振る舞う性格は昔も今も変わらない。

私は3人姉弟の末っ子で、家族の顔色を見ながら、みんなが調和すればいいなと考えて振る舞うタイプの子どもでした。姉ふたりはまったく父の仕事の話に関心がなかったので、父が話したそうにしていて、自分が聞いてあげれば折り合いがつくな、と思って付き合っていました。そういう性格は今も変わっていないですし、いまは話を聞く相手が社員になったという感じです。

高校までは新潟にいましたが、関東の大学に進学し、卒業後は父の紹介で東京の鉄鋼商社に3年間お世話になりました。新潟に戻ってきたのは1998年、25歳のときでした。最初から経営に関わるようにということで、社長室付きという形でソーゴに入社しました。

この年は変革期で、遅れてやってきたバブル崩壊の影響で受注が一気に落ちた時だったのですが、「大丈夫だから、あまり騒ぐな。借り入れはこれだけあって、返済計画はこうだから」と話をしてくれました。

帳簿を見せて丁寧に教えてくれることは無かったのですが、そういう会話の中から財務について学び、理解していきました。その後、2015年に代表に就任しました。

各拠点が自主的に動き、業界の変化に対応してきたことが成長要因。

会社が順調に成長してきた背景としては、それぞれの営業拠点に裁量権を与えていたことが大きかったと思います。現場が主体性を持って動いていたので、社会的な変化にすぐに対応できたということです。

我々の冷凍冷蔵業界は、環境が次々と変わっていきました。創業当初はお客さまが地域の冷凍機屋さんだったところから、大手スーパーの時代になると全国規模の冷凍設備業者に主体が移り、やがて断熱パネルが食品工場や物流倉庫、半導体関連などのクリーンルームに使われるようになると、取引先がゼネコンや空調サブコンに移っていきました。

その変化を、現地の営業担当がアンテナを張って感知しながら、先代社長と相談をして販路を変えていったんです。こうした現地の対応力が、年商100億を超える会社にまで成長できた理由のひとつだったと思います。

ただ、ここから先は課題があると思っています。案件の規模が大きくなるほど、近くの営業所同士のバッティングが起きて無駄が多いので、情報統制を取るために、私の代になってから営業と製造に本部機能を作りました。原則としては各営業所社員の自主性を尊重しながら、社員教育や協力会社への対応など、共通ルールで行った方が良いものは本部が指示を出す、という体制になっています。

会社に変化を与えてくれることを中途採用者には期待している。

採用に関して、いま当社で活躍している社員の半分は中途採用のメンバーです。ソーゴの常識にとらわれず、世間の常識を社内に持ってきてくれることが中途採用人材の良いところだと思っています。

例えば、これまで設計部門がお客さまに提示する図面を描くときは、当社の製品に関わる部分だけを手掛けて、それ以外に仕入れている部品や工事に関しては営業担当者任せだったんです。

そんな中、中途採用で入社した社員が、お客さまと営業の事情を踏まえて、全体の図面を描いてくれた。その仕事を見て、他の人の意識も変わっていったと聞いています。その社員は、「より良い仕事・サービスを提供しないとお客さまに見放されてしまう」ということが分かっていて、そこまでやるべきだと考えての行動でしょうし、そういう影響をこれからも与えてほしいと思います。

プロパーの良さももちろんありますが、両者が混じることでさらに良くなる。社員の人格形成という意味でも、外を経験している中途採用人材とプロパー人材が触れ合うことで、きっと良い風が吹くだろうと感じています。

いま重要だと思っている課題は、「会社が変わるきっかけを社内でどう作っていくか」なので、変化を与えてくれる存在はウエルカムです。変わるきっかけとして、設計担当に営業を経験してもらう、ということも考えています。

百聞は一見にしかずで、ひとつの体験で変わることはある。これは私自身もそうで、先代から何度言われても分からなかったことが、社長という同じ立場になって初めて理解できたこともあります。営業を経験することで、マーケットの目線を持って設計にフィードバックできるようになることも重要だなと思っています。

この先の改革につなげるために、今は積極的に人を採用したい時期。

新たに加わってくれる人に求めるのは、誠実さや真面目さがあって、努力できることだと思います。コミュニケーションにも長けていれば好ましいですし、そのためには自分の人格形成が出来ていることが必要なので、30代~40代の採用も進めていきたいと思っています。

当社の場合、営業は特に守備範囲が広く、新規開拓から提案、設計、施工管理、協力業者のアレンジまでやっています。ひとりで受け持つことの良さもありますが、大変さもある。まずは人数を増やして仕事量の平準化を進め、次のステップで分業化を進めていくことを考えており、業務の効率化に向けて取り組んでいます。

業務において社員のチャレンジは応援したいですし、チャレンジしようとしたときに協力してくれる仲間を集めやすい雰囲気も、社内にできていると思います。自分自身も重要だけど、周りを助けることが会社のためになる、という仲間意識を持てる人をリーダーに推していくことも進めていきたいと思います。

営業拠点の事務所も、環境整備を進めています。例えば、名古屋は以前は倉庫の中の一角で仕事をしたりしていましたが、今は一等地とは言えなくても便利な立地で日当たりもいい事務所になっています。固定費が上がることになるので心配もしたのですが、社員からは「快適に働けています。感謝しています」という話が聞けて、費用が上がった以上に効果があったなと思いますし、時代に合わせたチューニングは行っていこうと思っています。

社外とも調和を図ることが自分たちのためになる。

今後は、基本的にいま手掛けている製品群に注力し、人材を増やして、よりお客さまのニーズに合わせた提案力を強化していくことが中期的な目標です。

営業が技術提案を含めた付加価値をつけて提案できるようになれば、会社もより成長できると思っているので、採用と教育の部分が重要になってくると考えています。

本業自体、まだ脆弱な部分も残っていると思いますし、競合他社も伸びてきていますので、まずは地盤を固めて、お客さまに選ばれる会社になっていくことを重視しています。

組織としては合理化も進めていきますし、時には他社とのアライアンスを組むことも必要になってくると考えています。実際、他社から頼まれることもありますし、協力する場面は出てくると思います。

業界の成長パイは寡占化し、人材も思うように採用できない中で、自社単独で利益を追求することだけに拘らず、他社と協業して互いの事業を発展させることも考えていく必要があると思います。

また、私自身も実感していますが、他社の方と接すると勉強になることも多いです。社員育成にも効果があるのかなと思います。自分たちが支えられているのは周囲のおかげであるし、会社を良くしようと自分のことだけを考えていると、結局損をする。何事も人を助けた方が自分にも返ってくると思います。

社内はチームで、また社外でも協力できる場面は協力をしてやっていく。少なくとも私の代では、その方向で進んでいこうと思っています。

編集後記

コンサルタント
中村 麻優

とても優しく柔らかい語り口で、普段から周囲との調和を図られる佐藤社長ですが、社員の方々や採用に関してお話しされているときには、とても熱い気持ちが伝わってきて、「人」を大切にされていることがとてもよくわかるインタビューでした。

現場の意見を積極的に取り入れ、どんなに会社が発展しても驕らず、周囲の方々へのリスペクトの気持ちを持ち続ける社長だからこそ、周りには良い方が集まり、会社も発展を続けているのだと感じました。

社長のもとで社員一人ひとりが自立しつつも助け合いながら成長していく、そういった姿に今後も同社が発展し続けるビジョンが見えた取材になりました。

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